テレビでもおなじみ、元内閣安全保障室長の佐々淳行氏が書いた書籍「わが記者会見のノウハウ」を読みました。
記者会見でどのように対応するべきか、大失敗を犯してしまう人の例をあげて、危機管理のプロがそのノウハウを披露しています。
将来起業してマスコミの前に出る予定の人は読んでおくといいでしょう。大事なのは「何を言うか」ではなく「何を言わないか」だそうです。
皆さんこんにちは、失言の多いよしぞう(@otonahack)です。
先日、タイトルに惹かれて、「わが記者会見のノウハウ―スキャンダル克服の秘訣」という本を読んでみました。
テレビのコメンテーターとしてもよく知られている、元内閣安全保障室長の佐々淳行氏による書籍です。危機管理のプロフェッショナルからみた記者会見の良し悪しについて書かれています。巻末には「記者会見の心得十ヶ条」もあり参考になります。
記者から質問されることが多い起業家さんや、政治家になろうとしている方、必見の本ですよ。
「わが記者会見のノウハウ」書評 目次
「攻めの広報」と「守りの広報」
広報には2つの広報があるそうです。「攻めの広報」と「守りの広報」。
「攻めの広報」とは、いわゆる自分たちが宣伝したいことをアナウンスする広報活動。新製品ができた際のプロモーション、芸能人を使ってのイベントなど。派手なイメージのある広報活動です。
一方「守りの広報」とは、不祥事や失言をした際の記者会見などがこれにあたります。この「守りの広報」が極めて重要だそうです。
アメリカの企業などでは会社のナンバー3くらいの重役が「コンプライアンス・オフィサー」という役割を担っていることが多く、このクラスの方が記者会見に出てきます。
現場の担当部長などの下っ端に任せてはいけないそうです。かといって社長が度々出てくるのもよくない。ナンバー3くらいの人が出てくるのがいいとのこと。責任のある立場のある人が広報官になることが重要なのです。
「攻めの広報」が得意な担当者が「守りの広報」を上手にできるとは限りません。そのことを知っておくことも重要です。
言ってはいけない「ネガティブリスト」を作る
危機管理を経験したことがない担当者は、「記者会見で何を発表するか」のリストを作ってしまいます。佐々氏はこれは役に立たないと言います。
記者はその項目にないことを質問してくるからです。ですので、言ってはいけない「ネガティブリスト」を用意することが重要なのです。
会見に出る担当者は、リストにある項目は絶対に言ってはいけません。その代わりそのリストに無いことは何を言ってもかまいません。
この「ネガティブリスト」がないと、会見に出た担当者が自分の判断で発言してしまうので極めて危険です。危機管理のためには必ず「ネガティブリスト」を作るのが良いようです。
これはいいアイデアだなと思います。
記者会見の心得十ヶ条
この書籍の巻末には「記者会見の心得十ヶ条」が出ています。詳しくは本を読んでいただくとして、十ヶ条を掲載しておきます。
- 第1条 嘘は禁物
- 第2条 言えないことは「言えない」と言う
- 第3条 知ったかぶりは禁物
- 第4条 ミスリード的相槌を慎む
- 第5条 逃げない、待たせない
- 第6条 締め切り時間への配慮
- 第7条 オフレコの活用
- 第8条 資料は先手を打って配布する
- 第9条 素直な陳謝
- 第10条 解禁条件付き(エムバーゴ)の発表方法
- 蛇足 第11条 酒を飲んで記者会見をするな
第11条は、中川大臣の泥酔と言われた記者会見を受けての追加項目だそうです。あの事件(?)は結局不可解なままですね。真相がなんだったんだろうか、いまだに気になります。
まとめ:普通の人でも記者会見に駆り出される世の中、読んでおくといい
今の世の中、昨日までは普通の生活を送っていた人が突然マスコミの前に押し出されて記者会見をする状況になることがあります。先日も、雪山で遭難した方が記者会見をしていました。そんな時の場合に備えて読んでおいてもいいと思います。
特に、起業家の皆さん、記者会見で失敗して会社の評判が落ちてしまうのを防ぐには、こういった危機管理が重要です。ぜひ読むことをお勧めします。
余談ですが、2006年の第一次安倍内閣って、不祥事が多かったんですね。
- 「女性は子供を生む機械」
- 「なんとか還元水」
- 「原爆の投下はしょうがない」
- 「絆創膏大臣」
などなど、あまりの多さにびっくりしました。今の安倍内閣はその時の経験をかなり学習しているんですね。内閣改造するまでなにも不祥事がありませんでしたからね。
記者会見の対応ひとつで、国民の敵になってしまう世の中です。気をつけたいですね。