『トイ・ストーリー4』のウッディの役回りやボー・ピープのキャラクター設定について考察しました。
こんにちは、よしぞうです。
ディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー4』のネタバレ感想です。
この映画でのウッディはまるでディズニープリンセスと言っても良いような役回りです。
『シンデレラ』のストーリー展開に沿って物語が進んでいくことや、MeToo時代を反映した設定など興味深い点があったので、その点について考察してみました。
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目次:
結論:『トイ・ストーリー4』は男性版シンデレラ
『トイ・ストーリー4』の構成は『シンデレラ』に似ています。
「苦境にある女の子が王子様に出会い、幸せになっていく」。
本作ではウッディが女の子の役割です。男性版シンデレラといっても良いでしょう。
男女逆転の構図は、最近のMeToo運動に象徴される男女平等への強い意思表示を感じました。
では、どんな点が『シンデレラ』に似ているのか、なぜ、ボー・ピープがあのようなキャラクター設定になったのか、よしぞうの個人的な考えを解説します。
ウッディとシンデレラの類似性
映画『トイ・ストーリー4』の主人公ウッディ、そして映画『シンデレラ』の主人公シンデレラは同じようなストーリーを進んでいきます。
おおざっぱですが、下記の表にまとめてみました。
ウッディ | シンデレラ | |
---|---|---|
1.苦境 | クローゼットに放置される | 継母たちのいじめ |
2.移動 | キャンピングカーで旅行 | カボチャの馬車でお城へ |
3.出会い | ボー・ピープ | 王子様 |
4.旅立ち | ボーと外の世界へ | 王子様とお城で生活 |
序盤は両者とも辛い状況にいる
序盤では、ウッディもシンデレラも辛い状況にいます。
シンデレラはご存じの通り、意地悪な継母や姉たちにいじめられます。
ウッディはシンデレラほどではありませんが、オモチャとして遊んでもらえなくなりつつあり、クローゼットの中にしまわれたままの状態も少なくありません。
ウッディは「自分の役割は終わってしまったのではないか」という寂しさを感じる毎日です。
家の外へ出る機会が与えられる
そんな状況の中、両者とも外出することになります。
シンデレラは、カボチャの馬車でお城のパーティーへ行きます。
ウッディは、持ち主であるボニーの家族とともにキャンピングカーで旅行に行きます。
『トイ・ストーリー4』は現代の映画だけあって、出かける途中でウッディがはぐれてしまうなど、ストーリーに捻りが加えてあります。
出かけた先で運命の出会い
両者とも出かけた先で運命の出会いをします。
シンデレラは王子様と、ウッディはボー・ピープと出会います。
この出会いは、両者の今後の運命を大きく変える力を持っています。
古い世界から新たな世界へ
シンデレラは王子様のお妃としてお城での新たな生活が始まります。
ウッディは、ボニーのオモチャとしての役割が終わったことを自覚し、ボー・ピープと共に広い広い外の世界へ旅立ちます。
男女が逆転している点が興味深い
次の項目でも述べていますが、男女の役割が逆になっている点が面白いですね。
しかも、同じディズニー作品であることも重要です。
過去の作品の構造を利用し、時代に合った設定に変更することで「ディズニーは古い体質ではなく革新的で、ユーザーの気持ちや時代の常識に寄り添った企業である」という意思表示も感じます。
ひょっとしたら、そこまでの考えは込められてないかもしれませんが、ピクサーやディズニーのクリエイター達が無意識に(あるいは意識的に)時代の変化を感じ取り作品に反映させている点は重要だと思います。
「辛かった状況の主人公が運命的な出会いをし、幸せを勝ち取る」という構造は多くの映画で使われるストーリーですが、助けられる側が男性になっているのは、とても興味深いなと思いました。
ギャビー・ギャビーにとってはウッディが王子様に
ボー・ピープに助けられるウッディですが、そんなウッディも、声が出なくなったギャビー・ギャビーに対しては彼女の幸せを助ける立場になっています。
入れ子構造になっているのも面白いです。
ボー・ピープのキャラクター設定はMeToo時代を反映
今回の映画ではボー・ピープが『トイ・ストーリー2』以来の再登場をはたします。
以前とは打って変わってアクティブなキャラクターになっています。アクティブどころか野生児と言っても良いくらいのたくましさ(笑)。
『トイ・ストーリー2』で穿いていた大きなスカートはパンツルックに替わり、つばの大きなマダム風の帽子を脱ぎ、古い女性像からの脱却を図っています。
アンティークな電気スタンドという姿は見られません。
しかも手には武器を持ち、マントを羽織って大活躍します。まるでスーパーヒーロー。
まさに「MeToo」時代を象徴する、現代らしい戦う女性のキャラクターです。
「いつまでも『アンティーク(古い女性像の暗喩)』と思ってんじゃねえぞ、おいごら!」という力強さを感じます。
所有物でなくなるウッディ
ウッディは物語の最後に、持ち主から自立して旅立ちます。
かつて、女性は男の所有物のように扱われてきましたので、「誰かの所有物でなくなり自立する」というエンディングもMeToo時代を反映しているのかもしれません。
ジョン・ラセターの件も関係あるのかも
『トイ・ストーリー』シリーズは、ピクサーのボスだったジョン・ラセター監督が第一作目から手がけていました。
「トイ・ストーリーといえばジョン・ラセター」というくらいの代名詞になっていましたが、残念なことに、女性スタッフに対するセクハラで退職しました。
今作で女性キャラクターが活躍するのは、ラセターのセクハライメージを払拭したい考えもあったのかもしれません。
その一方で、今作でウッディが仲間から離れていく展開は、ピクサーを去ったジョン・ラセターへの「はなむけ」の意味もあったのかもしれません。
新世代の子供にこそ見てほしい映画
子供は多かれ少なかれ、親の固定観念によって育ってしまいます。
親が育った時代の古い考えが、子供にも伝わってしまいます。
僕らの世代は「男のくせに」「女のくせに」といった考えが支配する時代に育ちました。
次世代を担う子供達にはそうなって欲しくないですね。
そういう意味でも『トイ・ストーリー4』は、子供達に新しい時代の空気を実感させる良い作品だと思います。
子育てを終えた親は自分の人生として見るべき
『トイ・ストーリー』シリーズは、子供に対する「親の視点」を「おもちゃからの視点」に置き換えて綴られています。
『トイ・ストーリー4』では、ウッディがオモチャとしての役割(子供をあやす、子育て)を終えて、自分の人生を歩み出そうとする物語です。
親の役目を終えたウッディは外の世界に旅立ちました。
移動遊園地の屋根から見渡す世界の広さ、あのシーンの表現はとても良かったですね。
もし、あなたが子育てを終えた親だったら、自分の子供が巣立っていった後、何をしますか?
第二の人生はまだまだ無限に広がっています。
映画のラスト、お別れのシーンでバズ・ライトイヤーの名台詞が出てくるのも頷けますね。
「To infinity and beyond !(無限の彼方へ、さあ行くぞ!)」
『モンスターズ・インク』も、親視点の映画
同じくピクサーによる作品『モンスターズ・インク』も、親の視点から見た映画ですね。
モンスターの世界に迷い込んだ人間の子供を人間の世界に戻そうとする物語です。
モンスターの世界では「人間の子供はモンスター達に害がある」と思われていますが、だんだん子供に愛着を持ってしまうモンスター。
涙無しでは見られない映画です。
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モンスターズ・インク
『モンスターズ・インク』も良く出来た映画ですのでお薦めです。
まとめ
以上、『トイ・ストーリー4』と『シンデレラ』の類似性や、現代らしいボー・ピープのキャラクター設定について考察してみました。
当初は、ジョン・ラセターが退社したので『トイ・ストーリー4』の出来について心配していたのですが、とても良い映画になっていました。
正直言えば、もう続編は作らないで欲しいと思っています。ウッディが旅立つことで終わるのが良いのではないかなと思います。
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